営業車は自家用車の何倍も消耗する

一般的な自家用車の年間走行距離は1万km前後です。軽貨物では3万kmから5万km走ることも珍しくありません。それだけで消耗は3倍から5倍です。

さらに、荷物を積んだ状態で走るためエンジンとブレーキへの負荷が大きく、宅配では発進停止を1日に何百回も繰り返します。この使い方はエンジン、ブレーキ、タイヤ、バッテリーのすべてを削ります。

結論として、自家用車の整備感覚は捨ててください。「まだ大丈夫だろう」の判断が、稼働停止という最も高いコストを呼びます。

整備の周期と費用の目安

  • エンジンオイル:5,000kmごと、または3ヶ月ごと。 費用は3,000円から5,000円。軽貨物ではこの周期を守ってください。オイル管理を怠るとエンジンの寿命が一気に縮みます。
  • オイルエレメント:オイル交換2回に1回。 1,000円から2,000円程度。
  • タイヤ:2万kmから3万kmごと、または溝が減ったら。 4本で2万円から4万円。雨の日の制動距離に直結するため、溝が浅くなったら迷わず交換してください。
  • バッテリー:2年から3年ごと。 1万円から2万円。夏と冬に突然上がります。3年目に入ったら予防交換が正解です。
  • ブレーキパッド:3万kmから5万kmごと。 1万円から2万円。宅配は停車が多く、想像より早く減ります。
  • 車検:事業用の軽貨物車の周期に従う。 費用は7万円から12万円程度。整備箇所が多いと膨らみます。
  • 冷却水・ブレーキフルード:2年ごとが目安。 車検時にまとめて実施することが多い。

年間の整備費を合計すると、おおむね15万円から25万円。月あたりにすると1万2千円から2万円です。

車検積立は月1万円から

車検の費用は突然来ます。しかも来るのは大抵、資金が薄い時期です。毎月1万円を別口座に積んでおけば、車検の月に慌てません。これは節約ではなく、資金繰りの平準化です。

3分でできる日常点検

毎朝、出発前に次を確認してください。慣れれば3分で終わります。

  1. タイヤ。 目視で空気圧の減りと、釘やガラスが刺さっていないかを見ます。週1回は空気圧を実測してください。
  2. 灯火類。 ヘッドライト、ブレーキランプ、ウインカー。ブレーキランプは1人だと気づきにくいので、壁やシャッターに映して確認します。切れていると追突されます。
  3. エンジンオイルの量。 週1回、レベルゲージで確認。急に減っていたら異常です。
  4. 冷却水とウォッシャー液の量。 リザーバータンクを目視するだけです。
  5. 異音と異臭。 エンジンをかけた瞬間の音、走り出しの振動。昨日と違うと感じたら放置しないでください。

この点検は、業務記録として残す習慣にすると一石二鳥です。軽貨物でも安全管理の記録が求められる方向に制度が動いています。

放置すると高くつく症状

すぐ止めるべき

ブレーキの効きが甘い、走行中の異常な振動、警告灯の点灯、焦げた臭い。この日は稼働をやめて整備工場へ行ってください。

今週中に見せる

エンジンからの新しい異音、アイドリングの不安定、エアコンの効きの低下、オイルのにじみ。悪化する前に手を打ちます。

次の点検で相談

わずかな異音、ドアの立て付け、内装のガタつき。急ぎではないが、伝えておけば次の整備でまとめて直せます。

車が動かなくなった日の初動

いつか必ず起きます。その日の動きを先に決めておいてください。順番が重要です。

  1. 安全を確保する。 路上で止まったなら、ハザードを出し、可能なら路肩へ寄せ、三角表示板を置きます。高速道路上なら、車外のガードレールの外側へ避難してください。
  2. 元請けまたは会社へ連絡する。 レッカーより先です。理由は、荷物をどうするかの判断が必要だからです。積んでいる荷物は他人の財産です。誰かが引き取りに来るのか、別のドライバーに引き継ぐのか、指示を仰ぎます。
  3. ロードサービスを呼ぶ。 任意保険に付帯していることが多い。契約時にレッカーの距離上限を確認しておいてください。
  4. 代車を手配する。 リース契約に代車が含まれているか、整備工場が貸してくれるか。ここで翌日以降の稼働が決まります。
  5. その日の売上は諦める。 動かない車で無理をしないでください。判断が遅れるほど損失は大きくなります。
止まる前提で備える

車載工具、軍手、懐中電灯、三角表示板、ブースターケーブル、モバイルバッテリー。この6点は常に積んでおいてください。加えて、ロードサービスの番号と元請けの緊急連絡先は、スマホの電池が切れても分かるよう紙にも書いて車内に置いてください。

整備工場を1つ決めておく

安い店を毎回探すより、近所の整備工場を1つ決めて通うほうが確実に得です。理由は3つあります。

車の履歴を把握してくれるので、次に何が来るかを教えてもらえます。急いでいる時に融通が利きます。そして、軽貨物で走っているという事情を理解してくれれば、稼働を止めない段取りを組んでくれます。

この関係は、金額の割引より価値があります。年に1回しか行かない店に緊急の対応は期待できません。

車検の制度や必要な点検の内容については、軽自動車検査協会の情報で確認してください。事業用車両は自家用と扱いが異なる部分があります。