集合住宅は「1棟いくら」で考える
戸建ての配達は1件ずつの積み重ねですが、集合住宅は1棟単位で考えます。10件の荷物がある建物に入るなら、その10件を1回の入館で全部終わらせるのが目標です。
やってはいけないのは、1件ずつ車と建物を往復することです。車に戻るたびに数分を失い、10件なら30分以上が消えます。
まとめ配りの手順
- 車内でその棟の荷物を全部抜き出す。 部屋番号順に並べます。
- 台車かバッグにまとめる。 手に持てる量を超えるなら、迷わず台車を使います。
- 階数の高い順に並べ替える。 最上階から降りてくるほうが、階段を使う場合に楽です。
- 不在票と筆記具を必ず持つ。 取りに戻る事態を防ぎます。
- 宅配ボックスの空き状況を先に確認する。 不在だった時の行き先を先に把握しておきます。
エレベーターか階段かの判断
ここが最大の分かれ目です。基準を持ってください。
3階までは階段
荷物が軽く、3階までなら階段のほうが速い。エレベーターを呼んで待つ時間で、階段なら着いています。
4階以上はエレベーター
ただし、複数階に配る荷物があるなら、最上階までエレベーターで上がり、階段で降りながら配るのが最速です。
重い荷物は必ずエレベーター
体を守るほうが優先です。数分の短縮のために腰を痛めれば、その後の数週間を失います。
「上りはエレベーター、下りは階段」。この原則を覚えておいてください。降りるほうが体への負担が小さく、待ち時間もゼロです。
オートロックへの対応
オートロックの建物では、入館の手順を先に把握します。
- 配達先の部屋を呼び出して開けてもらう。 最も基本的な方法です。
- 管理人室に声をかける。 管理人が常駐している時間帯なら、事情を説明して開けてもらえることがあります。
- 宅配業者用の解錠方法がある建物。 建物によっては配送業者向けの手順が用意されています。荷主や元請けから案内がある場合は、それに従ってください。
- 複数戸に荷物がある場合。 1戸目で開けてもらった際に、他の階の荷物もまとめて配ります。
やってはいけないのは、他の住人が出入りするタイミングに紛れて入ることです。トラブルの原因になり、警察を呼ばれることもあります。
オートロックで、配達先が全部不在の場合は入館できません。この時、外の宅配ボックスが使えるか確認します。使えないなら持ち帰りです。無理に入る方法を探すより、時間帯を変えて出直すほうが確実です。
階段のみの団地
古い団地はエレベーターがなく、5階建ての階段のみという構造が一般的です。ここは純粋に体力勝負になります。
効率化のポイントは、1つの階段に対して荷物をまとめることです。同じ棟でも階段が分かれている場合、階段ごとに荷物を分けてから持って上がります。間違えると、下まで降りて隣の階段を上がり直すことになります。
また、団地は棟の番号と配置が分かりにくい構造が多い。最初の1週間で、棟の配置図を自分で作っておくと、その後が劇的に楽になります。
タワーマンション
タワーマンションは、他の建物とまったく手順が違います。
- 荷捌き場が指定されている。 一般の来客用駐車場ではなく、業者用の搬入口を使います。場所を最初に確認してください。
- 入館手続きが必要な場合がある。 コンシェルジュや管理室で受付をする建物があります。
- 台車のルールがある。 建物指定の台車を使う、床を傷つけないタイヤの台車のみ、といった規定があります。
- 使えるエレベーターが決まっている。 住民用と業者用が分かれています。間違えるとクレームになります。
- エレベーターが低層・中層・高層で分かれている。 乗り換えが必要な場合があり、時間がかかります。
タワーマンションは1棟に多くの荷物が集まるため、効率的に回れば非常に生産性が高い。逆にルールを知らないと、1棟で1時間を失います。最初の訪問時に、管理室でルールを聞いてしまうのが最短です。
管理人との関係が最大の武器
技術的な工夫よりも効果が大きいのが、管理人やコンシェルジュとの関係です。
毎回きちんと挨拶する。共用部を汚さない。台車の音に気を配る。ルールを守る。これを続けていると、入館をスムーズにしてもらえたり、不在の住人の情報を教えてもらえたり、置き場所を融通してもらえたりします。
逆に、無言で入り、共用部を占領し、ルールを無視するドライバーは、管理側から会社へ苦情が入ります。そうなると、その建物での作業が一気にやりにくくなります。
入口の位置、駐車できる場所、エレベーターの構成、宅配ボックスの位置と番号、管理人の勤務時間、置き配の可否。これを建物ごとにメモしておいてください。3ヶ月分たまると、それがあなたの最大の資産になります。
駐車の判断
集合住宅では、車をどこに停めるかが作業時間を左右します。来客用駐車場が使える建物もありますが、無断で使うとトラブルになります。管理室に確認するのが確実です。
路上に停めざるを得ない場合は、通行の妨げにならない位置を選び、滞在時間を短くします。1棟にまとめて入る手順が身についていれば、路上に停める時間も短くて済みます。
共用部での作業は、他の住人の生活の場を通らせてもらっているという意識が大切です。急いでいても、走らない、大きな音を立てない。この配慮が、結果的にあなたの仕事をやりやすくします。