雨の日:荷物を守る

雨の日に最も多いトラブルは、荷物の水濡れです。段ボールは想像より早く水を吸います。

  • 荷室のドアを開ける時間を最小にする。 開けっぱなしにすると、荷室内の荷物全体が湿気ます。取り出す荷物を決めてから開けてください。
  • ビニール袋を常備する。 大きめのポリ袋を数十枚積んでおきます。荷物にかぶせて運ぶだけで、水濡れのクレームはほぼ消えます。
  • 置き配は特に慎重に。 今降っていなくても、この後降る可能性を考えます。軒下でも風向きによっては濡れます。
  • 玄関先での作法。 傘の雫を落としてから、濡れた手で荷物を渡さない。相手の玄関を濡らさない配慮が印象を変えます。

雨の日:運転を変える

雨天では制動距離が伸びます。晴天と同じ車間距離で走っていると、止まりきれません。

特に注意すべきは、降り始めの30分です。路面のホコリと油分が浮き上がり、最も滑りやすい状態になります。ここでの急ブレーキは危険です。

加えて、視界が悪くなります。歩行者は傘を差して下を向いて歩き、自転車は急に動きます。住宅街では、晴天時より明確に速度を落としてください。

レインウェアはケチらない

安価な雨具は数回で浸水します。1日中濡れたまま作業すると、体力を大きく削られ、判断力も落ちます。上下セパレートで、動きやすく、透湿性のあるものを選んでください。長靴より、防水のスニーカータイプのほうが乗り降りが速い場面が多い。

雪と凍結:装備の話

はっきり書きます。積雪や凍結のある地域で稼働するなら、スタッドレスタイヤは必須です。「今年は降らないかもしれない」という賭けはしないでください。

軽バンは車重が軽く、荷物が少ない状態では後輪の接地が弱くなります。凍結した坂道でノーマルタイヤの軽バンは、本当に登りません。そして下れません。

チェーンも積んでおいてください。スタッドレスでも登れない坂は存在します。そして、チェーンは事前に一度、晴れた日に装着練習をしておくこと。吹雪の中で初めて説明書を読むことになると、それだけで30分を失います。

雪の日の走り方

  1. 急のつく操作をすべて避ける。 急加速、急ブレーキ、急ハンドル。滑り出したら止まりません。
  2. 車間距離を平常の2倍以上取る。 凍結路面での制動距離は劇的に伸びます。
  3. 坂道は避けてルートを組む。 特に下り坂は危険です。前日の天気予報を見て、坂の多いブロックを別の日に回す判断もあり得ます。
  4. 橋の上とトンネルの出口に注意。 気温が下がりやすく、他の場所が濡れているだけでもここだけ凍っていることがあります。
  5. 停める場所を慎重に選ぶ。 傾斜のある場所に停めると、戻ってきた時に動かせないことがあります。

猛暑:命に関わる話

夏の配送は、雨や雪より危険です。熱中症は、気づいた時には判断力が落ちています。

水分と塩分

喉が渇く前に飲みます。水だけでなく塩分も。経口補水液か塩分タブレットを常備してください。

車内温度

停車中の車内は驚くほど上がります。戻ってきた時に熱がこもっていると、それだけで体力を奪われます。

休憩の取り方

2時間に1回は冷房の効いた場所で5分休む。もったいなく感じても、倒れるより安い。

荷物にも影響があります。チョコレートや化粧品、精密機器は高温で変質します。冷房の効いた車内でも、直射日光が当たる位置は避けてください。

稼働を止める判断基準

これが最も大切です。基準は、天気が荒れる前に決めておいてください。当日その場で判断しようとすると、収入への焦りで無理をします。

止めるべき状況の例です。

  • 大雪警報や暴風警報が出ていて、道路状況が危険な時
  • 視界が確保できないほどの豪雨・降雪
  • 道路の冠水が発生している
  • 自分の体調に異変を感じた時(めまい、頭痛、吐き気)
  • 車の装備が路面状況に対応していない時

止める場合は、必ず早めに元請けへ連絡してください。直前に連絡すると、代わりの手配ができず迷惑がかかります。「危なそうなので相談したい」と、判断する前に一報を入れるのが正しい動きです。

件数が落ちるのは正常です

悪天候の日は、平常時の7割から8割になるのが普通です。同じ件数を追おうとすると、その分だけ運転と作業が雑になります。「今日は落ちる日だ」と最初に受け入れることが、結果的に最も損失の少ない選択です。

悪天候の日の組み立て方

件数が落ちるのを前提にすると、1日の組み方が変わります。具体的に何を変えるかを書きます。

  1. 時間指定を最優先で固める。 悪天候の日は、遅れが発生しやすい。動かせない予定を先に確実に押さえ、残りを後から埋めます。
  2. 置き配できる荷物を先に処理する。 ただし雨の日は置き場所の条件が厳しくなります。養生の準備をしてから回ってください。
  3. 移動の少ないブロックから回る。 天候が悪化する予報なら、遠いエリアを先に済ませ、近場を後に残します。
  4. 建物内で完結する配達を組み込む。 マンションや団地はまとめて配れるうえ、雨に濡れる時間も短い。悪天候の日に相性が良い。
  5. 終了時刻を早めに設定する。 暗くなってからの雨や雪は、視界も路面も一段悪化します。無理に夜まで引っ張らない判断が必要です。

台風と警報が出た日

台風の接近時や、大雨・暴風の警報が出ている状況は、通常の悪天候とは分けて考えてください。

この状況では、配送そのものが止まることがあります。荷主側が出荷を止める、センターが閉まる、道路が通行止めになる。無理に走ろうとしても、そもそも荷物がない場合があります。

やるべきは、前日のうちに元請けへ確認することです。翌日の稼働はあるのか、判断はいつ出るのか。当日の朝に慌てて連絡するより、前日に方針を握っておくほうが、双方にとって動きやすい。

そして、走らないと決めた日は、その判断を後悔しないでください。1日の売上と、事故や車両の損傷を比べれば、答えは明白です。

悪天候の翌日にやること

雨や雪の日の翌日は、車の状態を確認してください。ワイパーゴム、ブレーキの効き、下回りの汚れ。融雪剤を使う地域では、下回りを洗い流さないとサビが進みます。

また、濡れた装備を車内に放置しないでください。カビと臭いの原因になり、次に使う時に不快です。

天候は自分でコントロールできません。できるのは、装備と判断基準を先に用意しておくことだけです。それをやった人が、悪天候の日でも安全に、そこそこの件数を配って帰ってきます。交通安全に関する情報は警察庁や全日本トラック協会も公開しているので、参考にしてください。