経費になるもの

軽貨物の仕事で一般的に必要経費として扱われる支出を並べます。

  • 燃料代。 業務での走行分。プライベートでも同じ車を使うなら按分が必要です。
  • 車両リース料。 事業で使う車両のリース料は、原則としてその期間の経費になります。
  • 自動車保険料。 事業用の任意保険、自賠責保険。
  • 貨物保険料。
  • 車検・整備・修理費用。 オイル交換、タイヤ交換、部品代を含みます。
  • 高速道路料金・コインパーキング代。 業務での利用分。
  • 駐車場代。 車庫として借りている月極駐車場。
  • 通信費。 配送アプリを使うスマホの料金。プライベート利用があるなら按分します。
  • 備品・消耗品。 台車、荷締めベルト、軍手、テープ、カッター、コンテナ、雨具、懐中電灯。
  • 作業着。 業務専用であることが明確なもの。
  • 事務用品。 ペン、ノート、プリンターのインク。
  • 会計ソフト利用料。
  • 開業費。 開業のために支出した費用。資産計上して後から経費に配分します。
  • 研修費・講習費。 業務に必要な講習の受講料。
  • 税理士報酬。

経費にならないもの

ここははっきりしています。

  1. 交通違反の反則金・罰金。 業務中に受けたものでも、必要経費として認められません。これは明確です。
  2. プライベートの食事代。 1人で食べる昼食は、仕事をしていなくても食べるものなので、原則として経費になりません。取引先との会食など、事業上の必要性が説明できる場合は交際費として扱える可能性があります。
  3. 私服・スーツ。 日常でも着られる衣類は、業務専用とは言いにくく、認められにくい支出です。
  4. 健康診断・人間ドックの費用。 個人事業主本人の健康診断費用は、原則として経費になりません。医療費控除の対象になるかは別途要件があります。
  5. 所得税・住民税。 これらは経費ではありません。一方、事業税や自動車税は経費になります。
  6. 国民健康保険料・国民年金保険料。 経費ではなく、社会保険料控除として所得控除の対象になります。扱いが違うだけで、税負担は軽くなります。
  7. 生計を一にする家族への支払い。 原則として経費になりません。ただし青色事業専従者給与の届出をしている場合は例外があります。
反則金だけは絶対に諦めてください

「業務中だったから経費になるのでは」と考える人が必ずいますが、なりません。罰金・反則金を経費として認めると、法令違反のコストを税で軽減することになるためです。切られた金額は、そのまま手取りから消えます。

家事按分の考え方

プライベートと事業の両方で使うものは、事業で使った割合だけを経費にします。これを家事按分といいます。

車両関連

走行距離で按分するのが最も説明しやすい。業務での走行距離と総走行距離の比率で計算します。

通信費

業務での使用時間や、業務専用の回線かどうかで判断。可能なら業務用の回線を分けるのが確実です。

自宅の家賃・電気代

自宅を営業所として使っている場合、事務作業に使う面積の比率などで按分します。

按分の根拠を残す

按分で重要なのは、その割合をどう決めたかを説明できることです。「なんとなく8割」では通りません。

車の場合、最も確実なのは走行距離の記録です。給油のたびにメーターの数字をメモし、業務での走行と私用での走行を区別できるようにしておきます。この記録があれば、按分率に根拠が生まれます。

自宅の場合、事務作業に使っている部屋やスペースの面積を測り、住居全体に対する比率を出します。図面や間取り図に書き込んで保存しておくとよいでしょう。

根拠のない按分は、後から否認されるリスクがあります。逆に、根拠を残していれば堂々と計上できます。

10万円と30万円の線引き

物を買った時、金額によって扱いが変わります。

  • 10万円未満:その年の経費として全額を計上できます。
  • 10万円以上:原則として固定資産として計上し、法定耐用年数にわたって減価償却で経費にしていきます。中古車を50万円で購入した場合も、この扱いになります。
  • 30万円未満(青色申告者):一定の要件を満たす青色申告者は、少額減価償却資産の特例により、その年に全額を経費にできる場合があります。年間の限度額があります。

この特例があるため、パソコンやドライブレコーダー、工具などの購入では青色申告が有利になります。適用要件と限度額は変わることがあるため、購入前に確認してください。

判断に迷いやすい項目

実務でよく聞かれるものを整理します。

  • 作業中に飲む水・スポーツドリンク。 判断が分かれる項目です。個人的な飲食とみなされる可能性があります。金額も小さいので、無理に計上せず割り切るのが現実的です。
  • 洗車代。 業務で使う車の洗車は、事業に関連する支出として説明しやすい項目です。私用と兼用なら按分します。
  • スマホ本体の購入代。 業務で使うなら経費に含められますが、私用と兼用なら按分。10万円を超える場合は減価償却の対象です。
  • カーナビ・ドライブレコーダー。 業務に必要な装備として計上できます。金額により減価償却の対象になります。
  • 腰痛対策のクッションやサポーター。 業務上の必要性を説明できるかで判断が分かれます。医療目的なら医療費控除の検討になります。
迷ったら計上して、根拠を残す

グレーな支出をすべて諦める必要はありません。事業に必要だったと説明できるなら計上し、その理由をメモしておく。後から質問された時に答えられる準備をしておくことが大切です。ただし、明らかに私的な支出を混ぜるのは脱税にあたります。線は引いてください。

領収書の保存

領収書やレシートは、法定の期間にわたって保存する義務があります。青色申告か白色申告かによっても扱いが異なるため、国税庁の情報で確認してください。

実務としては、月ごとに封筒へ入れる、あるいはスマホで撮影して会計ソフトに保存するのが確実です。電子帳簿保存に関するルールもあるため、電子データで保存する場合は要件を確認してください。

税制は改正されます。経費の取扱いや特例の要件は変わることがあるため、判断に迷う場合は税務署や税理士に確認してください。