比較の出発点は「何に対して報酬が出るか」

「1個180円」という説明だけでは月の売上は計算できません。配完した荷物が対象なのか、持ち出し個数なのか。返品、再配達、集荷はどう扱うのか。同じ単価でも、報酬対象の定義が違えば結果が変わります。税込・税抜の区分も、比較する案件どうしでそろえてください。

配送個数の実績を聞くときは、平均だけでなく集計期間と対象を確認します。経験者の多い繁忙月の数字を、始めたばかりの平月にそのまま当てはめることはできません。

単価180円と160円を、同じ22日で比べる

以下は考え方を説明する仮定の試算です。STSの実績・相場・収入保証ではありません。単価は税込相当の入金額としてそろえ、報酬は配送完了数だけで計算。経費は月の現金支出として仮置きしています。税金・社会保険料・借入返済・家計支出は含みません。

同じ稼働日数でも、手元の事業資金は変わる
比較する項目案件A案件B
1個の単価(仮定)180円160円
1日の配送完了数(仮定)100個120個
月の稼働日数(仮定)22日22日
月の売上396,000円422,400円
月の事業支出(仮定)100,000円120,000円
売上から支出を引いた額296,000円302,400円
1日の業務時間(仮定)10時間12時間
上記差額を業務時間で割った額約1,345円/時間約1,145円/時間

月の差額だけを見るとBが6,400円多く、時間あたりではAが上回ります。これだけで優劣は決まりません。必要な生活費、休み方、身体への負担、仕事を覚えられる体制まで含めて判断するための出発点です。時間あたりの数字は比較用の指標で、雇用の時給や賃金を表すものではありません。

配送の外側にある時間を入れる

ここでいう業務時間には、積み込み・仕分け、出発待ち、配送エリアへの移動、再配達、持ち戻り、終了報告を含めます。通勤時間は別欄で記録し、生活との両立を考えるときに加えます。配送中だけの時間で割ると、比べたい負担が見えなくなります。

面談で使える質問

「配送を始める時間と終える時間だけでなく、積み込み開始から持ち戻り・終了報告までの流れを教えてください。待ち時間や二便目への移動はありますか?」

予想の件数を2割下げたらどうなるか

仮にAの配送完了数を100個から80個に減らし、他の前提を変えなければ、月売上は316,800円、事業支出を引いた額は216,800円です。これは売上が必ず2割落ちるという意味ではなく、条件が崩れた場合を考える試算です。実際には燃料費などの変動費も動くため、明細を分けて再計算します。

通常月だけでなく、稼働日が減った月・車両修理が発生した月も考えると、契約を続けるために必要な資金が分かります。経費を整理する表も併せて使ってください。

契約前に埋める案件比較シート

  • 報酬の単位と対象:配完・集荷・返品・再配達の扱い
  • 費用負担:車両・燃料・保険・駐車場・手数料・事故時の負担
  • 時間と場所:積込地・配送範囲・待機・持ち戻り・通勤
  • 支払条件:締日・支払日・控除の明細・税区分
  • 続ける条件:休みの相談・車両故障時・契約終了時の手続き

分からない欄が残っているときは、契約前に書面などで確認します。仕事を始める準備は、単価の交渉より先に「比較できる条件を集めること」からです。業務委託契約の確認項目で、口頭の説明と契約書を照らし合わせてください。